熊本博物館リニューアルのあゆみ(第四回)
第四回 熊本博物館、展示製作始動!
このページではリニューアル工事中の熊本博物館の”今”についてお伝えします。
本記事ではこれまで建築工事に焦点を当ててご紹介しましたが、並行して新しい常設展示の製作もすすめられています。今回はその様子をご紹介いたします。
まず展示を製作する上で重要なのは、製作会社との打ち合わせです。すでに大まかな設計図は出来上がっていますが、それを基に展示物のもつ背景やストーリーを分かりやすく、かつ魅力的に伝えるための方法を模型や実物のサンプルを用いながら具体的に検討します。展示パネルに用いる文章や図なども博物館、製作会社の双方でチェックと修正をくり返し、より伝わりやすいものに練り上げていきます。この打ち合わせでは各分野の専門家がこだわりをもって意見を交わすため、朝から夜まで丸一日がかりになることも珍しくありません。
打ち合わせでは縮小模型やサンプルを用いて詳細に検討します。
また、展示製作の現場は事務所内にとどまりません。たとえばジオラマの製作では実際にモデルとなる現場に出向き、魚や鳥がどのような場所にすんでいるのか、植物はどのように生えているのか、水や砂泥はどのように表現すべきかなど、風景や環境を再現するために必要な情報を共有します。
ジオラマ製作では砂の色や粒の大きさなどにもこだわり、リアルな表現を目指します。
資料を保管している倉庫内では演示具(展示物を見やすく設置するための道具)や模型を製作するために、梱包してある資料を1点ずつ取り出し、詳細に計測したり、様々な方向から撮影したりします。図面上での打ち合わせでは伝えきれないことも実物を前にするとよく分かるので、作業中により良いアイディアが生まれ、製作に活かされることもあります。
倉庫内での計測作業の様子。 実物を目の前にして、効果的な 展示方法を話し合います。
このように博物館の展示は様々な立場の専門家の創意・工夫と、それを実現するための数多くの準備作業を経て製作されているのです。